多読の教材 グレイディッド・リーダー(Graded Reader)
英語で読書を楽しもう~多読のすすめ~(英語教育講座 准教授 竹森徹士)
英語の「多読(Extensive Reading)」とは、次のような英語の読書法です。
辞書を使わずに比較的やさしい本を読み、細かいことは気にせずに全体の内容を把握しながら、ドンドン読み進んでいくこと
(高瀬敦子『英語多読・多聴指導マニュアル』)
学習者が自分にとってやさしい英語の本を楽しく読んで、読書速度を上げ、読書を流暢にできるようにすること
(「国際多読教育学会による多読指導ガイド」)
日本では2000年頃から、英語の多読に注目が集まるようになりました。それ以降、英語学習における多読の効果は広く認められ、現在では中学・高校・大学の授業などに取り入れられるようになっています。
多読の教材 グレイディッド・リーダー(Graded Reader)
英語の多読で使用される教材は、「グレイディッド・リーダー(Graded Reader)」と呼ばれ、文章・語彙の難易度などによってレベル分けがされています。
グレイディッド・リーダーは、英語の学習者向けに、英米文学の名作や映画の原作などを易しい文章に書き直した作品や、オリジナルの作品など、多数刊行されています。
図書館では、Macmillan Readers、Oxford Bookworms Library、Penguin Readers(現在は、Pearson English Readers にシリーズ名を変更) という3種類のグレイディッド・リーダーを中心に、約700冊のテキストをそろえています。
グレイディッド・リーダーを活用して、楽しく英語を学習しましょう!
英語がすらすらと読めたら楽しいだろうな、そう思いませんか。でも単語は分からないし、文法もだめだし・・・。では思い切って分からない単語も文法もなさそうな本を読んでみたらどうでしょう。すらすらと読めるのではないでしょうか。そうしてまず自力で一冊の本を読み切る達成感を味わってみましょう。面白いと思ったら味をしめて次の本に手が伸びるかもしれません。
多読というのは、そういう読書の楽しみを保ちつつ英語でたくさんの読書をすることです。徹底的に辞書を引いて一字一句おろそかにせず英文を理解することを精読といい、それはそれでとても大切なことですが、多読では多少のことは気にせず、気楽に読みます。
多読で心がけることは二点です。ひとつ目は自分が面白いと思うトピックのものを選ぶことです。内容本位で読んでください。二つ目はだいたい内容がつかめるレベルの英語で書かれたものを選ぶことです。辞書を引かなくても読める、やさしい英語で書かれている本から始めましょう。英語の勉強をしようと思ってはいけません。
図書館の英語多読コーナーにあるグレイディッド・リーダーは、英検4級から準1級相当まで広くレベル分けされていて、分量も手ごろで、なじみの古典から話題の映画作品、ノンフィクションなどジャンルも豊富です。そのうえ装丁がなんともお洒落です。裏表紙に総語数が記されているので、読書量の目安も簡単にわかります。Oxford Reading Treeという子供向け絵本シリーズも揃えています。愉快な物語とユーモラスな挿絵がおすすめです。
一昨年から私のゼミで学生のみなさんに多読を実践してもらっています。ただ本を読むだけではなく、レビュー集も作っていますので、そのうち宮教生のみなさんの読書の参考になったら、と思っているところです。貴重な学生時代、英語で読書を楽しんでみませんか。その楽しみを続けるうちに英語力も伸びていくはずです。
附属図書館が所蔵するグレイディッド・リーダーのリストです。
- Macmillan Readers (PDFファイル) ※Children's Readersを含む
- Macmillan Readres (Excelファイル) ※Children's Readersを含む
多読を効果的に実践するために、解説書も多数刊行されています。学習法に迷ったときは、次の解説書も参考にしてみましょう。
(1)酒井邦秀『快読100万語!ペーパーバックへの道』ちくま学芸文庫、2002年6月
(2)酒井邦秀・神田みなみ編著『教室で読む英語100万語 多読授業のすすめ』大修館書店、2005年4月
(3)古川昭夫『めざせ100万語!読書記録手帳』コスモピア、2005年4月
(4)佐藤まりあ『大人のための英語多読入門』コスモピア、2008年9月
(5)高瀬敦子『英語多読・多聴指導マニュアル』大修館書店、2010年6月
(6)古川昭夫監修・著ほか『英語多読入門 やさしい本からどんどん読もう!めざせ100万語』コスモトピア、2011年1月
(7)古川昭夫ほか『英語多読完全ブックガイド』改訂第4版、コスモピア、2013年4月
(8)酒井邦秀・西澤一編著『図書館多読への招待』日本図書館協会、2014年8月
(9)国際多読教育学会(The Extensive Reading Foundation)「国際多読教育学会による多読指導ガイド」http://erfoundation.org/wordpress/guides/