■ 今は無き動物たちに思いを寄せて…
菅原 淳
この絵本との出会いは、私が20代だった頃、ストレートなタイトルと表紙の絵に惹かれ、思わず手に取ったことでした。本を開いて見てみると、美しい動物の挿絵とその動物についての説明が書いてあります。30分もあれば、一気に読み終えることができる分量です。
それでは、この絵本の最初の部分を少しだけ紹介します。
ドードー 学名:ラプス ククラートゥス
「むかし、インド洋のモーリシャス島に、ドードーという、七面鳥よりすこし大きな鳥がすんでいました。ドードーはへんな鳥でした。太りすぎていたために、飛べなかったし、走ろうとすると、おしりが地面にぶつかってしまうのです。最高速度を出しても、よちよちかけまわるだけでした。もしかすると、自然は、ドードーのつくりかたをまちがえたのかもしれません。」
このように、文章も平易で、挿絵があるのでとても読みやすい絵本です。
実は、これは、美しすぎたために、あるいは、ちょっとおおらかすぎたために絶滅してしまった楽園の動物たちを取り上げた絵本なのです。
他には登場順に、ミイロコンゴウ、クアッガ、オオウミガラスなど、全部で14種類の絶滅した動物たちについて、どんな生活をしていて、なぜ絶滅したのか(ほとんどの場合、人間が原因になっています)が分かりやすく書いてあります。名前だけでは想像がつかない動物でも、挿絵があることで容易にイメージすることができます。その絵を見ると、伝説上のおとぎ話に出てくるような動物たちで、とても興味がわきます。
ちなみに、ドードーは『不思議の国のアリス』の中に登場します。この本が出版されたのは1865年ですが、この時すでにドードーは絶滅していました。ドードーは1598年にオランダ人により発見されましたが、絶滅するまでに100年もかかりませんでした。
さらに、もっと身近なところでは、子供たちに人気のあるポケットモンスターのキャラクターとして、その名もドードーで登場します。ただし、こちらのドードーは、絶滅したドードーとは異なり、足がとても速いポケモンとして描かれています。
他にも、ドラゴンクエスト、ドラえもん、アンパンマンの話の中にもドードーをモデルとしたキャラクターが出てきます。興味のある方は調べてみてください。
絶滅した動物たちは目立つ存在だったがために、人間に捕獲され続け、種が絶えてしまいました。しかし、挿絵のように色鮮やかでとてもインパクトがあるからこそ、現代においてもアニメのキャラクターとして、子供たちに愛されています。
そんな子供たちにぜひ読んでもらいたい一冊です。きっと素敵な発見があるはずです。
※「ドードーを知っていますか」
ショーン・ライス・絵/ピーター・メイル,ポール・ライス・文/斉藤健一・訳/ベネッセ
(特別支援学校教諭)