■「ぜんぶで12ひき」の物語
安藤 明伸
「くまのがっこうの くまのこたちは 1,2,3,4……ぜんぶで12ひき。きょうも げんきに くらしています。」で始まるこのお話。「くまのがっこう」シリーズの絵本です。この絵本は、仙台生まれの絵本作家あいはらひろゆきさんの文と、あだちなみさんの可愛らしい絵で、大人でも楽しめるものになっています。私の下の娘には、今でも時々寝る前に読んでやることがありますし、小学生の上の娘も、今でもこの絵本や、キャラクターが大好きです。このシリーズでは、12匹のくまの子が主人公です。11匹が男の子で、一番末っ子にたったひとりの女の子ジャッキーが一緒に住んでいて、様々な出来事を経験します。シリーズで10作ほど出ていますが、今回はその2作目『ジャッキーのパンやさん』をご紹介致します。
ジャッキーは、一番年下で、いたずらっ子で、意地っ張りで、でもみんなのおねえさん代わり(のつもり)です。『ジャッキーのパンやさん』は、学校のバザーでパン屋さんを出店するというお話です。12匹全員で森の木の実を摘んだり、農園から作物を運んだりして、かぼちゃパンを作り始めます。パンを焼くのに1時間オーブンに入れるのですが・・・待っている間、どうやら11匹のお兄さんはみんな寝てしまい、ジャッキーが一人でオーブンから取り出したようです。でも、いつものジャッキーのおてんばで、パンが大変なことになってしまいました。もちろんお兄さんたちは怒り出します。意地っ張りなジャッキーは、そのままお店に持っていくのですが・・・。
どのシリーズも、文とイラストの絶妙なバランスで、読む者を楽しませてくれます。『ジャッキーのパンやさん』で私が特にお薦めするのは、パンが焼けてオーブンから取り出すシーンと、お客さんが並んでいるシーンです。シリーズ化されていることで、良い意味でのパターン化があり、それがリズムにもなっています。冒頭部分の書き始めも同じですが、毎回、お兄さんの名前が明らかになっていきますし、文中で「と おもったら・・・」という表記があると、次に事件が起こることがわかるのも、読む者をワクワクさせてくれます。各巻の最後も同じシーンなのですが、イラストは異なっており、今回はどうなっているのか楽しみになります。
またこれらのシリーズには、家族以外のおとなが一切登場しません。ストーリーの中では、旅行に行ったり、街に行ったりするのですが、登場人物としておとなが登場しないのです。そのため、12匹の子供たちだけで解決したり、お互いの気持をねぎらったりすることが自然と印象に残る作品となっています。
この「くまのがっこう」は、関連する生活雑貨やランチグッズ、キッチングッズなど実用的なものがたくさん出されています。子供たちと、絵本のエピソードを思い出しながら食べるランチは楽しく、美味しいですよ。
絵本を読んだら、こちらのサイトも見てみてください。きっと楽しめますよ。http://bears-school.com/
※「ジャッキーのパンやさん: くまのがっこう」
あいはらひろゆき・文/あだちなみ・絵/ブロンズ新社
(技術教育講座)