■ 「ごめんね」の言えることの大切さを教えてくれるこの一冊
内田麟太郎・作/降矢なな・絵『ごめんねともだち』(偕成社)
気田 真由子
「『また、また、かっちゃった』キツネは わらいが とまりません。」キツネとオオカミの競い合い、キツネは5回も連続して勝っているのです。我慢できなくなったオオカミは、キツネに向かって、「そうだ、おまえが ズルしたからに ちがいない!」と言ってキツネの座っていたイスをけとばし、家から追い出します。「いしも ながされている どしゃぶりなのに・・・」です。
キツネが出て行った後、オオカミはしょげ込んでしまいます。「お、おれの いいすぎだった。あいつは いんちきなんか ぜったい していない」それはオオカミが、誰れよりよく知っていたことなのです。負けて悔しくて、気がついたら叫んでしまっていたのです。
次の日、オオカミは散歩に出かけます。キツネに会えたら、「ごめんな」って謝るつもりだったのです。けれど、いざキツネに会うと、言えません。キツネもオオカミに声をかけたかったのに、ついそっぽを向いてしまいます。また次の日も、二人は原っぱで。「ごめん」の一言が言えないのです。
三日目。二人は、いつも一緒に遊んでいる大きな木を背にうつむいています。オオカミはさびしくて爪を噛みます。(「ごめん」も いえないなんて。わるいのは おれなのに。)こらえ切れなくなったキツネは、涙をこぼします。(いやだよ、いやだよ。オオカミさんと これっきりに なるなんて・・・・)涙がアリの上に落ちます。アリはずぶぬれです。キツネはあわててアリにあやまります。「ごめんなさい」
それを聞いたオオカミが、木の向こうから飛び出します。「ごめんは こっちだ。おまえは ちっとも ちっとも わるくないぞ!」キツネをぎゅっと抱きしめたオオカミは、何度もほおずりしたのです。
「ごめん」の一言が言えないもどかしさ、誰もが経験したことがあるに違いありません。なかなか言い出せないその一言は、ほんの小さなきっかけでぽつりとこぼれ出るものです。教師という職業を目指して前に進んでいる今、この本を読んで、子どもたちに「ごめん」を言うことの大切さを教えられる教師になりたいと思いました。
(英語コミュニケーションコース4年)