〜カムパネルラとは〜
宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』でジョバンニと旅をする
友人なのは言うまでもありません。絵本が開く異世界
への道案内人としての意味を込めたものです。
Vol.15 2010年3月号
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■ おおきくなるっていうことは

高橋 里美

 おおきくなるっていうことは ようふくが ちいさくなるってこと

 おおきくなるっていうことは あたらしいはが はえてくるってこと

おおきくなるっていうことは まえより たかいところに のぼれるってこと
おおきくなるっていうことは たかいところから とびおりられるってこと
それもそうだけど とびおりても だいじょうぶかどうか かんがえられるってことも おおきくなるっていうこと

靴がきつくなったから、新しいの買ってもらったんだよ!

先生、見て、見て!昨日ね、歯が抜けたんだよ。全部で6本抜けたよ。

などなど、昨日とは違う自分に喜びを感じ、それを話したくてしかたがない子どもたちです。特に、4月に出会った年長の子どもたちは、幼稚園の中で一番のお兄さん、お姉さんになったことがうれしくて、誇らしくて、「これからどんなことができるようになるのだろう」と期待に胸を膨らませているようでした。これは、そんな子どもたちとどのような出会いをしようかな、どのように生活していこうかなと考えていたとき、同学年を一緒に担当することになった先生から、「今の時期の年長さんにぴったりだと思うよ」と紹介された絵本です。
「おおきくなるっていうことは・・・」のフレーズの後に、子どもたちが「うん、うん。私にも同じことがあるよ」「ぼくだって、シャンプー嫌だって言わないよ」など、子どもたちが実際に経験したことのある事柄が、繰り返し書かれています。リズミカルに繰り返されることでこのフレーズは、子どもたちの耳に心地よく残るようでした。この絵本を読んでから、普段の遊びの中や生活の中で、

大きくなるっていうことは、友だちと工夫して遊べるっていうこと

大きくなるっていうことは、お片付けが上手になるっていうこと

など、今の自分たちならではのことばを入れて話をするようになったのも、覚えやすいフレーズだったからに違いありません。
もう少しで幼稚園を卒園して、小学校へ行く年長の子どもたち。幼稚園児から小学生へ、また一つ大きくなる子どもたちともう一度、一緒に読んでみたいと思います。
※「おおきくなるっていうことは」中川ひろたか・文/村上康成・絵/童心社                            

(附属幼稚園 年長児担任)



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