■ なつかしさいっぱいのこの一冊
レオ・レオニ作・谷川俊太郎訳『アレクサンダとぜんまいねずみ』(好学社)今 真弓
小学校2年生の国語の教科書に載っていたこの絵本を附属図書館で見つけ、なつかしさのあまり手に取りました。
壁の下の穴に棲むねずみのアレクサンダは、ぜんまい仕掛けで動くねずみのウイリーと出会い、友達になります。子どもたちからちやほやされるウイリーに、アレクサンダはうらやましさを覚えます。魔法を使うとかげの話をウイリーから聞いたアレクサンダ、自分もぜんまいねずみにして欲しいととかげに頼むのです。ぜんまいねずみになるのに必要なのは、満月の夜に「むらさきのこいし」を持ってくることでした。アレクサンダは懸命に探し回ります。ところが、ある日、突然、ウイリーがいなくなってしまいました。「古いおもちゃ」として、積み木や壊れた人形と一緒に箱の中に捨てられていたのです。その時、アレクサンダの目に入ったものがありました。「むらさきのこいし」です。
ぜんまいねずみになりたいと必死だったアレクサンダが、「とかげよ とかげ、ウイリーをぼくみたいな ねずみに かえてくれる?」と、まったく逆の願いをとかげに言ったのはどうしてだったのでしょうか。小学生のときに考えたその問いかけへの答えに、今ようやく気づくことができました。本当の幸せとは何かということにです。
(英語コミュニケーションコース2年)