■ 暖かい心の届くこの一冊
『あたたかいおくりもの』(福音館書店)佐藤 葵
暖かな場所、大好きな人、たくさんの笑顔、それがクリスマスに対して抱く私のイメージです。そこには贈り物があり、想いがあります。「選んだ贈り物、気に入ってくれるかな」という、贈り物をするときのわくわくした気持ち。贈り物を受け取って、自分のことを思って選んでくれたその姿を思い描く、うれしく、暖かな気持ち。『あたたかいおくりもの』には、そうした贈る気持ち、贈られる気持ちが詰まっています。
寒い冬を外で過ごす森の木のために、森の動物は一生懸命、セーターを編みます。動物が作るセーターは、古い膝掛けをほどいたもの、短い毛糸を結んでつなぎ合わせたもの、綿を混ぜて水玉模様にしたものなど。想いが籠もったセーターは、どれもこれもふわふわとして暖かそう。セーターを着せてもらった森の木の周りは、雪の中であるにもかかわらず、そこだけ陽だまりのような暖かさがあるのです。
この絵本を読むと贈り物がしたくなります。相手を思う、贈り物の暖かさが伝わってくるからです。大好きな人に喜んで欲しい、心の中でそう想う時間は楽しいもの。その先に、大好きな人のうれしそうな笑顔という素敵な「贈り物」が待っているからです。
※「あたたかいおくりもの」たるいし まこ作/福音館書店
(教育臨床専攻2年)