〜カムパネルラとは〜
宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』でジョバンニと旅をする
友人なのは言うまでもありません。絵本が開く異世界
への道案内人としての意味を込めたものです。
Vol.2 2008年1月号
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■ 将来、自分で調理する時に

野崎洋光『おいしい・かんたん和食大好き! : 定番の和食110レシピ』(成美堂出版)

庄子 博之

 この本は中学部や高等部の学習で大活躍です。中学部の生活単元学習「学校に泊まろう」は,生徒が自分たちで立てた計画のもと,活動に見通しを持ち,学習を主体的に進めていこうとする態度を身につけ,身辺自立の技能を高めることをねらいにしています。特別支援学校の校庭の隅にある平屋づくりの生活訓練棟に一泊して生活する中で,荷物の整理,衣類の始末,ふとん敷き,レクリェーションの計画や準備,食料の購入,食事作りなどに取り組みます。食事作りでは,自分の作りたいおかずをインターネットや図書室の本で調べます。そのような時に,生徒は写真で分かりやすく調理法を示してあるこの本を手に取り,作り方や材料を調べています。
 材料を買うのも大事な学習です。品物がどこに置いてあるのか分からない時は,店員さんに尋ねます。聞き方も学んでいきます。みんなで協力して調べたり,作ったりした料理の味は格別のようです。将来,家庭から離れ自分で調理する時に,もう一度手にしてもらいたい本です。

 ※「おいしい・かんたん和食大好き! : 定番の和食110レシピ」
    野崎洋光著/成美堂出版

高等部「職業・家庭」(生活訓練棟で)

(附属特別支援学校教諭)


■ 絵本を読んで英語で表現する授業

佐藤 倫子

 嬉しいときの「ぎゅっ」、悲しいときの「ぎゅっ」、ありがとうの「ぎゅっ」・・・。2学年英語科で扱った絵本『HUG』を紹介します。これは、0歳児からを対象とした絵本で、英語で書かれた絵本といっても本文はなく、せりふは"HUG", "BOBO", "MUMMY"の3語しかありません。小猿のボボが、色々な動物たちのHUGする姿を見て、母親に出会うまでのお話です。絵は優しい色合いで描かれ、とても温かい印象を与えます。原書のタイトルが『HUG』であるのに対して、翻訳版では『ぎゅっ』という表現が選ばれています。
 授業は、次のように構成しました。絵本をスクリーンに映して、ALTが簡単な英語で絵を描写する文を聞きながら物語を読みます。ボボが寂しそうな顔をした場面で絵を止め、なぜボボは寂しそうな顔をしているのか、また、お母さんに会えた後、ボボはどんなことを学んだのか、その理由を英文で書きました。『HUG』の温かさや触れ合うことの嬉しさだけではなく、寂しそうなボボを助けようとする仲間の大切さについても気付くことのできる絵本です。授業後は、「絵本を英語で読んだのは初めてだったので楽しかった」、「ボボの気持ちを英語で表現するのが大変だった」などの声が聞かれ、絵本を見て表現の工夫をしようという意欲が高まりました。
 日本人にとってhugは馴染みの薄い文化といえますが、ただ英語の文を書くだけではなく、絵本のもつ温かさという、本文に表れない部分を読み取ることで、教材が生徒の心に残るものとなったと思います。

 ※「ぎゅっ」ジェズ・オールバラ作・絵/徳間書店 Jes Alborough, HUG (Candlewick Press)

(附属中学校教諭)


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