平成26年度特別展示企画
■ポスター
■7/31-8/25 展示の様子
■ポスター(名取市)
■10/30-11/2 展示・講演の様子(名取市)
問い合わせ先:※画像・文章の無断転載は、ご遠慮ください。
附属図書館長 遠藤 仁
ご好評いただいている教科書展も8回目を数え、本年度は「歴史のなかの教科書~英文法から英会話重視へ~」と題し、7月31日(木)から8月25日(月)までの23日間にわたり開催致します。
平成23年度より、小学校においても「外国語活動」が必修化され、外国の言語・文化について体験的に理解を深めるのみならず、コミュニケーション能力の素地を培うべく様々な活動が行なわれるようになりました。言語形成期にある子どもたちは、母語に限らず外国語の習得も容易だと言われますし、改めて日本語・日本文化を見つめなおすきっかけにもなることでしょう。
私どもの世代が受けた英語教育は、「話すこと・聞くこと」よりも「読むこと・書くこと」と「英文法」に重きがおかれていたように思います。外国は今よりもっと遠く、海外に行けるようになることが、ひとつの夢となりえた時代でした。かつて旅先で、英語で道を尋ねられ、とっさに返答できずに身振り手振りを交えながら近くまで案内したという苦い経験があります。言葉で伝えられないもどかしさを思い知らされた一事でしたが、グローバル化の進展にともない、次代を担う若い人たちには、さらなるコミュニケーション能力が求められることでしょう。時代ごとに帯びる色合いの異なる英語教科書、ぜひ懐かしい教科書を手に取りながら現代に至る英語教育の軌跡をたどっていただければ幸いです。
最後になりましたが、愛知教育大学・京都教育大学・東北大学の各附属図書館のご理解のもと、今回の展示に合わせて貴重な資料を拝借することができました。衷心より御礼申し上げる次第です。また、これまでご協力くださいました英語教育講座の先生方、とりわけ講演のみならず監修までお引き受けくださった鈴木渉准教授、展示にかかわる煩瑣な作業に鋭意取り組んでこられた図書館職員の方々に厚く御礼申し上げます。
展示監修 英語教育講座 鈴木 渉
文部科学省は,平成25(2013)年12月13日に,「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」を発表しました。様々な点について提言されているのですが,注目すべきは,まず,現在小学校で行われている外国語活動を教科にして,5年後の平成30(2018)年から実施するということです。次に,中学校でも高等学校と同様に「英語で授業」を基本とするという考えも提言されました。このように,小・中・高等学校の英語教育を通して,コミュニケーション能力を育成する狙いではあるのですが,それと同時に,日本人としてのアイデンティティに関する教育の充実,つまり,伝統文化や歴史の重視も掲げられていることも重要な点でしょう。このような教育を平成32(2020)年に実施するために,これから英語の教科書が作成,検定,採択されていきます。
今回の企画展示では,明治期から現代までの英語教科書の展示を見て,そして,教科書を実際に手に取ることで,時代や社会の変化や英語教育学研究の成果に応じて,日本の英語教育がどのように変わってきたのかを,少しでも感じていただくことができればと思っています。特に,文法中心の学習活動からコミュニケーション中心の言語活動へと日本の英語教育が変わっていく様子を感じ取っていただけるのではないでしょうか。また,当時の日本がどのような国民を育成しようと試みてきたのかというところにまで,思いを巡らすことができるかもしれません。
至らない点が多々あるかと思いますが,今回の展示を通して,英語教科書の歴史に触れていただき,今後の英語教育の未来を一緒に考える機会になればいいなと思っております。
→「英語教科書小史」(鈴木 渉)
日時:平成25年7月31日(木)10:30~12:00
場所:附属図書館スパイラル・ラボ
※講演会の内容は、育児世代を対象に、こどもへの英語早期教育に関する内容に変更し、より一般市民が親しめるものとした。
このたび名取市教育委員会・名取市図書館のご高配により、10月30日(木)から11月2日(日)まで、名取市文化会館展示ギャラリーにおいて教科書展を開催するはこびとなりました。(以下本文は、夏季開催と同じなので中略)
なお、11月2日(日)には「英語は早くからやればいいのか?-最新の研究成果と大人がこどもにできること-」と題し、本学の鈴木渉准教授の講演会も開催致します。ぜひこちらにも足をお運びください。この教科書展の開催にあたり、名取市教育委員会および名取市図書館には全面的なご協力を賜りました。ご尽力くださいました各位に厚く御礼申し上げますとともに、今後とも名取市と本学との絆がいっそう強まることを願ってやみません。